風営法入門:風営法とはどのような法律なのか詳しく解説します

この記事を読んでおられるということは、これから風営法について勉強したい経営者の方や法学部の学生、或いは風営法に関係する大きな事件がおきて『風営法ってなんだろう?』と興味を持った一般の方かもしれません。

この記事では、誰でも理解しやすいようにできるだけ難しい言葉を排除して風営法について解説させていただきます。

最後までよく読んでいただければ、風営法についてそんじょそこらの一般ピーポーよりも詳しくなれることは保障致します。

まずは、風営法とは何か?この法律の全体像を把握しましょう。

皆さんは風営法で規制されているお店はどのようなお店だと思いますか?


ピンク系のえっちなお店

初めて風営法に触れる方が、まずイメージするのがエッチ系のお店だと思います。
しかし、風営法の適用範囲は皆さんが思っている以上に広い。

例えば、キャバクラ・ホストクラブなどの社交飲食店。
ゲームセンターや麻雀店・パチンコ屋。
スナックや深夜に営業しているバー・ダンスクラブ・マッチングアプリなんかもそうですね。

もちろん皆さんが想像していたデリヘルやファッションヘルスなどのピンク系のお店ももちろん風営法の管理下です。

細かく言うとまだまだありますが、ここではまだざっくりとイメージしていただくだけで構いません。
風営法の全てを理解するには時間が掛かります。

 

それでは『風営法』ってなんなんでしょう?

『風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令』

いわゆる『風営法(風適法)』ですね。
第1条に目的が記載されています。

風営法第1条
 この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。
この条文を読み取ると、風営法の目的は2つ。
①少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止すること
②善良の風俗と清浄な風俗環境を保持すること
この2つですね。
2つの目的を達成する為に、風俗営業や性風俗のお店の営業方法や出店場所を規制しているわけです。例えば、営業区域の制限として『保全対象施設』というものがあります。
保全対象施設とはざっくり言うと、風俗営業から有害な影響を受けないよう風営法によって一定の保護を受ける施設のことを指します。
学校や病院などが代表的な例です。
例えば、学校などの近くにキャバクラが出店してしまうと、昼キャバなら登下校の最中に酔っ払いに絡まれてしまうかもしれませんし、酔っ払い同士のケンカやお店とのトラブルに遭遇してしまうかもしれません。
また、地域住民も黙ってませんよね?
大切な子ども達が通う学校の近くでキャバクラなんてたまったもんじゃない。
立ち退き運動に発展してしまいます。
そんなトラブルを未然に防ぐために、お国が規制しているというわけですね。
風営法の趣旨がなんとなく理解できたところで、この記事の一番の目的でもある、『風営法の許可の種類』について確認していきましょう。

風営法の許可|知っておくべき4つの業態

風営法の種類

風営法ではどのような業態が規制されているのでしょうか?

大きく分けると4つあります。

①風俗営業
キャバクラ・ホストクラブ・スナック・ゲームセンター・麻雀店・パチンコ屋etc

②性風俗関連特殊営業
デリバリーヘルス(無店舗型)・ファッションヘルス(店舗型)・ラブホテル・アダルトショップ・アダルトサイト・インターネットによる出会い系サイトetc

③特定遊興飲食店営業
ダンスクラブ・ライブハウス・スポーツバー・ショーパブetc(お店の業態により不必要なケース有)

④深夜における酒類提供飲食店営業
バー・ダーツバー・ガールズバー・居酒屋etc

 

大きく分ければ、この4つです。
ここからは、これら4つの業態はどのように区分されているのか確認していきましょう。

①風俗営業許可|1~5号営業の概要

風俗営業許可

風俗営業は更に細分化され、営業の形態により1~5号営業に分けられているということを知っておきましょう。
下記に1号~5号営業の概要をまとめました。

共通項目

公安委員会(管轄の警察署)へ申請し、営業許可を取得する必要がある。
用途地域・保全対象施設などの出店規制がある。
営業時間の規制がある。

 

1号営業

ホストクラブやキャバクラ・スナックなどの社交飲食店。
スタッフが特定のお客様と談笑したり、スキンシップをとったりするお店です。
特徴としては、接待行為(談笑・スキンシップ・カラオケのデュエットなど)が認められていること。

要件や営業時間の詳細は下記リンクをご覧ください。

キャバクラの始め方|風俗営業許可を行政書士が徹底解説

風営法と接待行為|違反営業ではありませんか?

 

2号営業

低照度飲食店。照明の照度が10ルクス以下の飲食店を営業する場合が該当します。
暗いお洒落な喫茶店やバーなどですね。
10ルクスがどのくらいかと言いますと、よく言われるのが上映前の映画館。
隣の人の顔やメニューが認識できるかぐらいですね。

3号営業

区画席飲食店。他の席から見通すことが難しい5㎡以下の客席を設置している飲食店が該当します。
個室居酒屋や漫画喫茶、ネットカフェなどが分かりやすいですね。
申請件数も非常に少なく、実際に機能しているのか?と個人的には疑問です。

例えば、風俗営業のなので営業時間の規制を受けますが、ネットカフェや漫画喫茶などは24時間営業のお店がほとんどですよね?実際にはほとんどのお店が取得していません。というより、ギリギリ要件を外して区画席飲食店ではなくしているといった感じですね。

 

4号営業

設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業ですね。
パチンコ屋さんや麻雀店が該当します。

射幸心というのは、ざっくり言うと楽にお金を儲けてやろうという心ですね。
パチンコは三店方式でグレーではありますが換金できますし、麻雀は昔から賭博行為に利用されることも多いので、風営法の管理下に置かれています。

麻雀店の要件などの詳細は下記リンクをご覧ください。

麻雀店の始め方|要件と知っておくべきポイントをぎゅっとまとめました


5号営業

遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える営業ですね。

ゲームセンターやカジノバー等が該当します。
遊戯設備で本来の用途以外の用途とは、例えば対戦できるシューティングゲームがあるとします。

本来の用途で遊べばただのゲームですが、対戦できるシューティングゲームだと勝ち負けがはっきり出ますよね?

負けた方がジュースを奢る
負けた方が次のゲーム代を出す

とかしたことありませんか?
これも厳密に言えば賭博行為です。
遊技機で優劣が着く仕様のものはどうしても賭博行為と切り離せないんですよね。
だから風営法の管理下に置かれているというわけです。

ゲームセンターの営業許可について詳しく知りたい方は下記リンクをご覧ください。

ゲームセンターと風営法|必要な許可を徹底解説

 

以上で風俗営業の概要についてのざっくりとした解説は終了です。
次は②性風俗関連特殊営業について確認していきましょう。

②性風俗関連特殊営業|覚えておくべき4つの業態

無店舗型性風俗特殊営業の届出

性風俗関連特殊営業は下記の4つの業態に分かれます。

①店舗型性風俗特殊営業

②無店舗型性風俗特殊営業

③映像送信型性風俗特殊営業

④電話異性紹介営業

それでは、順に確認していきましょう。

①店舗型性風俗特殊営業|1~6号のピンク系のお店

『店舗型』というように実際に店舗を構えて営業をする業態が該当します。

1号:ソープ

2号:ファッションヘルス

3号:個室ビデオ・ストリップ

4号:ラブホテル

5号:アダルトショップ

6号:出会い系喫茶

要件はかなり厳しいです。
営業できる場所を探すのはかなりの労力を要すると覚悟しておきましょう。

②無店舗型性風俗特殊営業|デリヘルの営業許可

『無店舗型』というように店舗を持たずに営業をする業態ですね。
いわゆるデリヘルや、
営業を始める10日前までに、公安委員会(管轄の警察署)に届出を提出する必要があります。

1号営業と2号営業があり、

1号営業:デリバリーヘルス
2号営業:アダルトビデオ等通信販売

これらは、店舗をもたない為、営業所でサービスを行うことがありません。
なので、どこにでも営業所を設置することができるのが特徴です。

詳細については下記リンクをご覧ください。

デリヘルの始め方|必要な要件とポイントを徹底解説

③映像送信型性風俗特殊営業|エロサイトに許可が必要?

こちらはインターネットを媒体とした、有料アダルトサイトやライブチャットなどが対象です。

最近では、スマホなどで気軽に見られるようになりサイト数も膨大です。
こちらも公安委員会(管轄の警察署)への届出が必要です。

インターネットサイトということで、軽く考えて無届けで営業をしている方も多いですが、摘発事例も増加していますので、ちゃんと届出を提出しておきましょう。

ちなみに、無料サイトの場合は届け出不要です。

④電話異性紹介営業|デートクラブ・出会い喫茶

テレクラやツーショットダイヤル(まだ存在するのか私は知りません)又は、最近多いのは店舗型の出会い喫茶やデートクラブですね。

こちらも公安委員会(管轄の警察署)への届出が必要となります。
また都道府県条例により規制を受ける業態もありますので、よく調べてから開業しましょう。

③特定遊興飲食店営業|深夜・飲酒・遊興がポイント

特定遊興飲食店営業

こちらは風営法の改正により新たに定められた許可となります。

改正前までは、ダンスは風俗営業とみなされ、風俗営業許可を取得する必要がありました。
しかし、関連団体からの強い要望によりダンスが風俗営業から外れたんですね。

その際に新設された許可が『特定遊興飲食店営業』です。

特定遊興飲食店営業の特徴

①深夜

②飲酒

③遊興

この3つを行う場合には、特定遊興飲食店営業の許可を公安委員会(管轄の警察署)に提出し許可を取得しなければなりません。

深夜に営業を行うダンスクラブやライブハウス、スポーツバーやショーパブなどが該当します。

下記リンクに要件などの詳細を記載していますのでご覧ください。

特定遊興飲食店営業|気になる要件と押さえておくべきポイント

 

深夜酒類提供飲食店営業|深夜営業をするには届出が必要

深夜酒類提供飲食店営業

バーやガールズーなどのお酒をメインにお客さんに提供する飲食店は、公安委員会(管轄の警察署)に深夜酒類提供飲食店営業開始届を提出しなければなりません。

届出をすることにより、深夜0時以降の営業が可能となります。

風俗営業に該当する『接待行為』はできない為、ガールズバー等は注意が必要です。
また、遊興をする場合には特定遊興飲食店営業の許可、10ルクス以下の明るさにするのであれば、風俗営業(2号営業)に該当する為、営業の方法により無許可営業となってしまうリスクがあります。

下記リンクに詳細を記載していますのでご覧ください。

深夜酒類提供飲食店営業|バーを開業する為に知っておくべきポイント

まとめ

いかがでしょうか?
ボリュームのある内容でしたが理解できましたか?

風営法は公安委員会の管轄である為、無許可営業への対応は非常に厳しいと思っておきましょう。

知らなかったから・・・が通用することはありません。

ご自身でしっかりとした知識を付けて適法な許可を取得するか、風営法の専門家でもある行政書士に依頼しましょう。

 

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