カウンターの高さは100㎝以下?|なるほど!風営法

カウンターと風営法

風俗営業許可や深夜酒類提供飲食店営業などの、風営法の許可や届出には場所の要件や店舗の構造といった要件が定められている。

これから新規でお店を開業する方、又は開業されている方の中にはこんな話を聞いたことがある人もいるのではないだろうか?

『カウンターの高さは100㎝未満にしてください』

風営法を知る人であれば、100㎝というワードはかなりよく聞く言葉だろう。

では本当に100㎝未満でなければカウンターの高さは認められないのか?

この記事では、風営法におけるカウンターの高さについて詳しく記載しています。
そんなピンポイントでマニアックなことを知りたい方だけお読みください。

カウンター

カウンターぐらい好きにさせてくれ|風営法の見通しの規制

まず、結論から言うと『カウンターの高さは100㎝未満である必要はない』。

・・・いや、『カウンターの高さは必ずしも100㎝未満である必要はない』と言うべきだろうか。
条件次第ということですね。

まずは、そもそもカウンターの高さが100㎝以下と言われている理由から知っておきましょう。

風営法の見通しについて|条文を見てみよう

では、風営法の構造の基準について、条文を読んでみよう。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第四条二項
公安委員会は、前条第一項の許可の申請に係る営業所につき次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、許可をしてはならない。
一 営業所の構造又は設備(第四項に規定する遊技機を除く。第九条、第十条の二第二項第三号、第十二条及び第三十九条第二項第七号において同じ。)が風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合しないとき
上記の条文を読むと、基準については『国家公安委員会規則』に定められているということが分かりますね。
では、『国家公安委員会規則』を確認してみましょう。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和六十年国家公安委員会規則第一号)
こちらの第七条ですね。
風俗営業各号の構造基準が記載されています。
今回は1号の社交飲食店を例に見ていきましょう。
一 客室の床面積は、和風の客室に係るものにあつては一室の床面積を九・五平方メートル以上とし、その他のものにあつては一室の床面積を十六・五平方メートル以上とすること。ただし、客室の数が一室のみである場合は、この限りでない。
二 客室の内部が当該営業所の外部から容易に見通すことができないものであること。
三 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
四 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
五 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。
六 第三十条に定めるところにより計つた営業所内の照度が五ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
七 第三十二条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第十五条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
三.に書いてますね。
ざっくりですが。
これだけを見れば、『100㎝なんてどこにも書いてないじゃないか』と思われるかもしれません。

これが風営法の分かりにくい所で結構ざっくりと書いてあることが多いです。

『接待』とか・・・

『遊興』とか・・・
『見通し』とか・・・
この辺の言葉は人によって受け取り方が変わりますよね。
180㎝の屈強な男性の見通しと、150㎝の小柄でかわいらしい女の子では見える範囲も全然違います。
では、このような人によって判断が別れるような内容に関しては何を基準に判断するのか?
風営法に関しては『解釈運用基準』を基に判断します。
風営法の概念や定義について解説されていますので、これから風営法に関する商売をしていくのであれば一度目を通しておくべきでしょう。
解釈運用基準によると、、
施行規則第7条の表中「見通しを妨げる設備」とは、仕切り、ついたて、カ
ーテン、背の高い椅子(高さがおおむね1メートル以上のもの)等をいう。
なお、見通しを確保する必要があるのは客室の内部である。このため、例え
ば、客室の中央に調理場が設置されているような場合に客室と調理場の間に見
通しを妨げる設備を置くことは認められないが、壁際に調理場があるような場
合に、客室内の見通しを妨げない方法で、客室と調理場の間に見通しを妨げる
設備を置くことは可能である。
やっと1m(100㎝)という単語がでてきましたね。
まぁ要するに客室内部は1m以上のもの置くなって話です。
ん・・・じゃあカウンターも100cm超えたらダメじゃね?
そうです。
基本ダメです。
僕も相談されれば基本ダメですと言います。
では、どんな条件であれば100㎝以上のお洒落なカウンターを置けるのか?
 法律

風営法の見通しの基準はあくまで『客室内部』

もう一度『解釈運用基準』を見てみよう。
施行規則第7条の表中「見通しを妨げる設備」とは、仕切り、ついたて、カ
ーテン、背の高い椅子(高さがおおむね1メートル以上のもの)等をいう。
なお、見通しを確保する必要があるのは客室の内部である。このため、例え
ば、客室の中央に調理場が設置されているような場合に客室と調理場の間に見
通しを妨げる設備を置くことは認められないが、壁際に調理場があるような場
合に、客室内の見通しを妨げない方法で、客室と調理場の間に見通しを妨げる
設備を置くことは可能である。
そう、あくまで客室内部なのだ。
では『客室』とは何でしょう?
こちらも『解釈運用基準』に記載されています。
便利でしょう?
「客室」とは、客に飲食をさせ、又は客に遊興をさせるため
客に利用させる場所を指す。例えば、調理場、バーカウンターの内側の客が位
置しない部分、洗面所、和風の営業所における床の間・押入れ・廊下、ショーや
歌舞音曲を実演するためのステージで客が位置しないもの等は、ここにいう客室
には含まれない。
『客に利用させる場所』
当然、通常はバーカウンターも客席に含むケースがほとんどです。
では、下記の場合、客に利用させる場所に含まれるか考えてみましょう。
パターン①
カウンターに椅子を置き、カウンターで飲食をする。
パターン②
カウンターには椅子を置かず、立食だがカウンターでの飲食はできる。
パターン③
カウンターでの飲食禁止。お客さんがお酒や料理をカウンターまで取りに行く。
さぁどうでしょうか?
正解は・・・・
全て客に利用させる場所に含まれます!
パターン③については、所轄によって判断は分かれるかもしれませんが、原則客室に含まれるはずです。(照会済み)
では、カウンターは客席に絶対に含まれるのか?
いえ、違います。
パターン④であれば、客室に含めなくても問題はありません。(※一応所轄の判断による)
パターン④
カウンターでの飲食禁止。店員さんがお酒や料理をテーブルまで持っていく。
又は、カウンターから直接お客さんに提供するのではなく、一度店員さんを介して提供する。
多分、100㎝以上の高さのカウンターを設置している風営法関連のお店であれば、パターン④しかないと思います。
もし、他にも方法があるのであればぜひ教えてください!

まとめ

この記事では、カウンターの高さに関してまとめました。

というのも、よく聞かれるんです。

私『原則ダメです』

お客様『他のお店ではもっと高いカウンターや椅子置いてるよ』
私『多分許可取ってないか、パターン④のようなケースです』
お客様『そうか・・・』
というやり取りが。
これから開業される方の知識になればと思います。
~~合わせて下記記事もお読みください~~

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